脳神経外科

部長 / 林悟

 2015年10月より、高知大学脳神経外科から野中先生が赴任され、林、西本、野中、長谷川の4人体制となった。診療実績に関しては、脳梗塞急性期治療であるtPA投与件数が2015年は40例となり、2013年から急激に増加した(グラフ1)。2012年9月からtPAの適応が、脳梗塞発症3時間から4.5時間に延長されたことが大きいが、2012年4月にストローク・ケアユニット(SCU)を開設し、24時間体制で神経系医師が院内に待機していることも症例数の増加につながったと思われる。投与件数の増加に加えて、投与までの時間も以前に比べて短縮しており、院内の体制も整ってきていると考えている。さらに、tPA無効例やtPA適応外症例に対しての、血管内再開通療法も増加している。今後も症例数の増加を目指している。

 2015年の手術件数は225例と、ここ数年で最多であった(グラフ4)。その要因として、急性硬膜下血腫が増えていることと、血管内治療症例が増えていることがあげられる。血管内治療では頸動脈狭窄に対するステント留置術(CAS)、脳動脈瘤に対するコイル塞栓術、また急性期脳主幹動脈閉塞病変に対する血管内再開通療法を以前より積極的に行っている。IVR-CTでの治療も軌道に乗ってきた。頭頸部の血管内治療では、立体的に血管の走行を確認し治療することが非常に重要である。biplaneによる透視が可能で、難易度の高い治療もより安全に行うことができる。また、ICG(インドシアニングリーン)蛍光血管造影が可能な顕微鏡、ナビゲーション、MEPなどのモニタリングを適宜使用して、より安全な開頭手術も心がけている。なお、手術症例の内訳(表1)は例年通り脳卒中と外傷がほとんどである。

 入院患者数は496名と減少傾向であるが(グラフ2)、脳外科に入院となる脳梗塞患者数が減少している事が主な要因と考えられる(グラフ3)。入院患者数減少にかかわらず手術件数は増加(グラフ4)している。これは、SCU開設後は神経内科の先生と毎朝カンファレンスを行っており、外科治療が必要な患者さんと内科治療のみの患者さんの振り分けが、うまく進んでいる為と考えている。出血性脳卒中は全て脳外科が担当している。4年目を迎えたSCU病棟も順調に運用され、入院期間の短縮、入院中の抑制の減少、肺炎の合併も減少するなどの成果が出てきている。

 2014年よりマンパワーの面で改善され、手術中などでも急患を受け入れやすくなった。2016年は前年以上の実績と治療成績を目標とし、学会活動にも力を入れて行きたい。

  • グラフ1. tPA投与件数(内科含む)  » クリックで拡大 ->

    グラフ1. tPA投与件数(内科含む)

  • グラフ2. 年間入院患者数  » クリックで拡大 ->

    グラフ2. 年間入院患者数

  • グラフ3. 脳卒中の内訳  » クリックで拡大 ->

    グラフ3. 脳卒中の内訳

  • グラフ4. 年間手術数  » クリックで拡大 ->

    グラフ4. 年間手術数

■表1
2015年 手術症例数
脳腫瘍 摘出術 7
生検術 (開頭術) 1
生検術 (定位手術) 2
経蝶形骨洞手術 0
脳血管障害 破裂動脈瘤 15
未破裂動脈瘤 4
脳動静脈奇形 0
頸動脈内膜剥離術 14
高血圧性脳内出血 (開頭血腫除去術) 15
高血圧性脳内出血 (定位手術) 12
その他 8
外傷 急性硬膜外血腫 3
急性硬膜下血腫 27
慢性硬膜下血腫 45
その他 1
水頭症 脳室シャント術 13
内視鏡手術 0
血管内手術 動脈瘤塞栓術 (破裂動脈瘤) 13
動脈瘤塞栓術 (未破裂動脈瘤) 2
閉塞性脳血管障害の総数 26
 (上記のうちステント使用例) (10)
その他 4
その他   13
合計   225
・STA-MCA吻合術、内視鏡下脳室内血腫除去は”脳血管障害:その他”
・血管内治療(上記のうちステント使用例)はCASの件数
・スパイナルドレナージ18件、気管切開4件は除く

 

■業績 学会発表
学会名 日時 演題名 演者
共同演者
第20回日本脳神経外科救急学会 1月30~31日 抗凝固薬内服中に発症した非外傷性脳出血の検討

近森病院 脳神経外科

  • 林悟
  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
第56回NEURO SURGERYカンファレンス 2月12日 NOAC内服中に発症した頭蓋内出血の4例

近森病院 脳神経外科

  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
  • 林悟
第38回日本脳神経外傷学会 3月6~7日 慢性硬膜下血腫のacute on chronic

近森病院 脳神経外科

  • 西本陽央
第40回日本脳卒中学会 3月26~29日 SCU開設後の脳出血治療成績

近森病院 脳神経外科

  • 林悟
  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
第79回一般社団法人日本脳神経外科学会
中国四国支部学術集会
4月11日 NOAC内服中に発症した頭蓋内出血の4例

近森病院 脳神経外科

  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
  • 林悟
第57回NEURO SURGERYカンファレンス 6月18日 再発瘤に対してコイル塞栓を追加した2例

近森病院 脳神経外科

  • 西本陽央
  • 長谷川義仁
  • 林悟

近森病院 放射線科

  • 細田幸司
第7回四国血管内治療研究会学術講演会 7月25日 内頸動脈狭窄症に対するCEAとCAS

近森病院 脳神経外科

  • 西本陽央
  • 長谷川義仁
  • 林悟
第34回 the Mt.Fuji Workshop on CVD 8月28~29日 経験初期段階の機械的血栓回収療法

近森病院 脳神経外科

  • 西本陽央
  • 長谷川義仁
  • 林悟

近森病院 放射線科

  • 細田幸司
  • 宮崎延裕
第17回中国四国脳卒中研究会 9月4~5日 非外傷性脳内出血の臨床経過における抗凝固薬の影響

近森病院 脳神経外科

  • 林悟
  • 西本陽央
  • 長谷川義仁

近森病院 救急科

  • 根岸正敏
  • 竹内敦子
第58回NEURO SURGERYカンファレンス 9月17日 約9カ月の経過で急速に増大したmyxoid meningioma の1症例

近森病院 脳神経外科

  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
  • 林悟
一般社団法人 日本脳神経外科学会
第74回学術総会
10月13~16日 当院SCUにおける脳出血治療成績と今後の課題

近森病院 脳神経外科

  • 林悟
第31回NPO法人 日本脳神経血管内治療学会
学術総会
11月19~21日 Door to Puncture timeを短縮するために

近森病院 脳神経外科

  • 西本陽央
  • 長谷川義仁
  • 林悟

近森病院 放射線科

  • 細田幸司
  • 宮崎延裕
第2回高知県頭頸部血管外科セミナー 11月27日 出血源の判断で誤った多発脳動脈瘤の一例

近森病院 脳神経外科

  • 西本陽央
第59回NEURO SURGERYカンファレンス 12月3日 distal AICA動脈瘤に対し、開頭ネッククリッピングを施行した1例

近森病院 脳神経外科

  • 野中大伸
  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
  • 林悟

 

■論文・著書
出版社 タイトル 筆者
脳卒中の外科
vol.43 No,1 32-38:2015
頚動脈内膜剥離術後再狭窄とその寛解

近森病院 脳神経外科

  • 高橋潔○
  • 林悟
  • 西本陽央
  • 長谷川義仁

Neurosurgical Emergency
20:193-198,2015

抗凝固薬内服中に発症した非外傷性脳出血の検討

近森病院 脳神経外科

  • 林悟○
  • 西本陽央
  • 長谷川義仁
  • 竹内敦子
  • 根岸 正敏