ER救急センター

部長 / 根岸正敏

4月、本院病床がフル稼働となり、救急車受け入れがスムースになりました
4月1日〜新しい高知医療ネットが運用されています

■診療体制

 

近森病院救急部門は、2011年5月に高知県から救命救急センターに指定され、まもなく5年が経とうとしています。救命救急センターの使命として、三次救急といわれる重症患者さんの受入れを行うのは当然のことですが、“重症から軽症まで”、“救急車やヘリコプターで搬入される患者さんから”、“歩いて受診される患者さん(walk in)まで”、あらゆる状態の患者さんを受け入れています。救急車やヘリでの搬入患者さんは医師が、walk in患者さんは主にトリアージナース(院外、院内で訓練を受けた専任の担当看護師で、JTASというトリアージシステムに則り判断しています)が、緊急度・重症度から優先順位を判断した上で、救急専従医師による迅速な診断と治療が行われます。

初期診断・治療の後、必要に応じさらに専門医に引き継がれ、高度の入院治療が行われます。(=北米ER型救急システム)

 重症患者さんの入院を受入れる救命救急病床は18床が認可されており、ほかにICU 18床、SCU 15床、HCU16床、そして一般病棟、と患者さんの状態に応じた病棟での入院治療が行われます。入院病棟の決定は、患者さんの病態を十分に把握した上で、担当医師やベッドコントロールナース(BCNS)、ERリーダーナースとの協議により決定しています。

 救命救急病棟は、日勤帯はER医師が、また休日夜間帯は各診療科の応援も得て24時間専任医師が常駐する体制をとっています。

 救急車の受入れ数は、ここ数年4,000件後半~5,000件で推移しておりましたが、2015年には6,000件を超え、今まで以上に多くの患者さんを受入ることができました。(図.1)総計は6,112件で、このうち入院が3,064件、心肺停止は109件でした(図.2)。

これは新棟工事のため病床数が一次減少していたものがフル稼働となり、また4月から始まった高知医療ネットにより、刻々と変化する当院の受け入れ状況などの詳細な情報が消防機関へ伝わりやすくなったことなどが影響しているものと思われます。

 また、応需率に関しては昨年と比し著明に改善しており、最近では90%台後半を維持しています。例年では病床が不足する12月でも504件の救急患者さんを受入れることができ、結果、前年と比べ、応需率も現在まで増加傾向で推移しております(前年度に比し、約10%の改善となっています)。(図.3,4)救急受入れ要請に対しては、対応病床が確保困難、救急車受入れが多数重なるなどの理由から応需できない症例もあり、さらに改善していきたいと考えています。(図.5)

 患者さんの重症度別では、軽症(外来での処置、通院で可能)は約47%、中等症(手術や入院が必要であるが、一般病棟で対応可能)が約26%、重症(ICUなどの重症対応病床への入院を要する)が27%でした(図.6)。

 ヘリポート完成後は、ヘリ搬送(高知県DRヘリ、高知県防災ヘリ)患者数も徐々に増加傾向で、2015年は87件で、特に循環器系疾患や外傷症例が多くなっています。(図.7)

 ERの救急専従医師は現在6名(根岸、杉本、井原、竹内、三木、山本)で、各診療科からの応援医師や研修医4~5名での診療体制をとっています。ほかに、walk-in対応の内科系医師2~3名で、救急車やwalk-inのすべての救急患者に対応しています。また再診処置のみの患者さんには、外科、形成外科、整形外科医師が午後からのみ対応しています。

 ERは、2014年9月より全日勤帯には救急科医師が常駐しております。夜間は内科系・外科系医師による当直体制ではありますが、救急科、各診療科ともに直ちに対応可能なオンコール体制をとり、24時間体制でバックアップしています。

また、2007年に開始したドクターカーは、救急部専従医師および救急救命士で対応しており、2015年は60件の出動がありました(図.8)。直接または中継搬送を行っており、例年通り循環器疾患や中枢神経疾患など緊急度・重症度ともに高い症例が多くなっています。

 看護体制は、森澤 救命センター看護師長、町田 ER看護師長を中心に、外来部門であるER、救命救急病棟、また放射線部門看護師などが、一丸となって看護にあたっています。手術部とも密な連携を取り、ERでの超緊急手術などにもスムースに対応できるよう、体制強化に努めています。

 院内救急救命士は7名体制となり、医師や看護師とともにドクターカーやヘリ搬送患者受入れを中心として活動し、さらに救急患者さんの初期対応の業務も行っております。

  • 1.救急車搬入件数  » クリックで拡大 ->

    1.救急車搬入件数

  • 2.月別救急車搬入件数  » クリックで拡大 ->

    2.月別救急車搬入件数

  • 3.月別救急車応需率  » クリックで拡大 ->

    3.月別救急車応需率

  • 4.2014年,2015年
月別救急車応需率比較  » クリックで拡大 ->

    4.2014年,2015年 月別救急車応需率比較

  • 5.救急受入れ要請数  » クリックで拡大 ->

    5.救急受入れ要請数

  • 6.救急車受け入れ患者重症度  » クリックで拡大 ->

    6.救急車受け入れ患者重症度

  • 7.ドクターヘリ搬送受入状況  » クリックで拡大 ->

    7.ドクターヘリ搬送受入状況

  • 8.ドクターカー出動状況  » クリックで拡大 ->

    8.ドクターカー出動状況

 

■教育

 ERスタッフを中心に、AHAのBLS、ACLSコース(米国心臓協会心肺蘇生)、ICLSコース(救急医学会心肺蘇生)、JATECコース(初期外傷診療)、JMECC(日本内科学会認定内科救急・ICLS講習)やDMAT研修(災害医療)などの各講習会にもインストラクターとして積極的に参加しており、JPTEC(病院前外傷救護)は、例年通り2015年1月に近森病院コースも開催しました。また、2014年に続き、2015年もJATECコース(初期外傷診療)を近森病院、高知赤十字病院が事務局として開催し、全国から多くのスタッフ、受講生の参加がありました。

 地域医療講演会でも、救急や災害関係の講演も行い、他にも定期的な勉強会を行うなど、職種を問わず日々研鑽を積んでいます。

修会を近森病院が事務局となり開催することができ、各分科会では活発な意見交換が交わされました。

■災害医療

 2010年に高知県から災害拠点病院に指定され、その役割を果たすために、近森病院の災害対策委員会、高知県および高知市の災害関係機関とも連携をとりながら、2015年も各種の災害訓練や講習会等に参加しています。

 高知県DMAT研修、MCLS(多数傷病者対応)研修にも、スタッフや受講者として参加しています。

  健康長寿県をめざす高知県では、今まさに地域のニーズに合った医療が求められています。「健康長寿」とはいえ、多くの患者さんは様々な合併症を抱え、病状も複雑化しているのが現状です。そんな複雑化した病状の患者さんにも十分に対応可能で高度な救急医療の提供が求められています。これからは、無駄を省き、さらに質の高い医療が必要となります。近森病院 救命救急センターでは、地元高知県のニーズに合った、そして何よりも質の高い救急医療を追求してまいりますので、何卒よろしくお願い致します。

■論文・著書
タイトル 筆者 出版
第2回 救助チーム医療班における医療活動
  • 井原則之
  • 大山太
  • 中島康
  • 谷暢子
  • 市原正行
Emergency Care
2015 Vol.28  No.1  (1月号) 
メディカ出版
第3回 救助チーム医療班看護師の役割
  • 井原則之
  • 大山太
  • 中島康
  • 谷暢子
  • 市原正行
Emergency Care
2015 Vol.28  No.2  (2月号) 
メディカ出版
「国際緊急隊 救助チーム医療班」のこと
~第5回 プロフェッショナルを融合させる~
  • 井原則之
  • 大山太
  • 中島康
  • 谷暢子
  • 市原正行
Emergency Care
2015 Vol.28  No.4  (4月号) 
メディカ出版
高知県における災害薬事コーディネーター活動
  • 西森郷子
  • 井原則之
  • 西山佳央里
  • 清岡有紀
  • 土居祥孝
  • 川内敦文
  • 宮村充彦
Japanese Journal of Disaster Medicine
Vol.20 No.2 November2015
抗凝固薬内服中に発症した非外傷性脳出血の検討
  • 林悟
  • 西本陽央
  • 長谷川義仁
  • 竹内敦子
  • 根岸正敏

Neurosurg Emergency20:193-198,2015

 

■発表
名称 開催日 場所 演題名 発表者
第40回日本脳卒中学会総会 3月26~29日 広島 SCU開設後の脳出血治療成績
  • 林悟
  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
  • 葛目大輔
  • 山﨑正博
  • 竹内敦子
  • 三木俊史
  • 根岸正敏
第79回(一社)日本脳神経外科学会
中四国支部学術集会
4月11~12日 広島 新規経口凝固薬(NOAC)内服中に発症した頭蓋内出血の4例
  • 長谷川義仁
  • 西本陽央
  • 林悟
  • 竹内敦子
  • 根岸正敏
第18回臨床救急医学会
総会・学術集会
6月4~6日 富山 当院救命救急センターにおける院内救急救命士の現状と今後の展望
  • 藤中奈美
  • 杉本和彦
  • 上總麻里子
  • 町田清史
  • 根岸正敏

「住民全員が応急手当のできる町」津野町におけるFirst Responder体制の構築と救急医療体制の確立

  • 杉本和彦

第68回高知県医師会医学会 8月22日 高知 当院における誤嚥・気道閉塞症例の検討
  • 岸本達磨
  • 山本賢太郎
  • 三木俊史
  • 竹内敦子
  • 井原則之
  • 杉本和彦
  • 根岸正敏